大豊丸船頭大西喜幸さん
大西 喜幸さん
大豊丸(オオトヨマル)船頭
1964年3月16日香住生まれ。
中学校卒業と同時に漁師の世界へ。
漁師としてのキャリアは底曳き船から始まる。(当時16歳)
その後、紅ズワイガニ(香住ガニ)漁を経て、33歳から大豊丸でスルメイカやアカイカの漁を行う。漁師歴は今年で37年目を迎える。香住の漁師の中でも指折りの腕の持ち主らしい。
巨大なアカイカ(ソデイカ)を獲る
浜に一際大きなイカがたくさん並べられています。
初めて見た人はその大きさに驚き、立ち止まってしまうと思います。
このイカこそが、大西さんの漁獲物のアカイカです。
大きいものでは十数キロにもなるといいます。
過去に大西さんが獲った中で最高の重さのものは21キロあったそうです。
アカイカの漁期はお盆過ぎから年内までとなります。
アカイカは、もっちりとした食感で熱を通してもあまり固くならない特徴があり、
大西さんおススメな食べ方はシンプルに刺身か鉄板でステーキのように焼くことだそうです。
アカイカの漁法
重さ数十キロにもなるアカイカを一体どうやって獲るのでしょうか?。
山陰地方の伝統漁である「樽流し立縄」という漁法で獲るそうです。
樽に疑似エサを付け、アカイカが食いついたところで引き上げるという。
漁獲が最も盛んな地域は沖縄らしく、香住を含めた但馬地方も
全国上位の漁獲量を誇ります。
家族の協力や助けがあるからこそ漁が出来る
アカイカ漁は夜明け前に出航し、夕方に帰港する。
そして、次の日の早朝のセリに出します。
これが基本的な流れとなりますが、全てを大西さん一人が出来るわけではありません。
「家族、特に奥さんの協力が無いととても出来ることではないよ。」と大西さんは言う。
また、「普段は決して口に出さないが、改めて思うと妻はよくやってくれている。大変感謝している。」
と恥ずかしそうに語ってくれました。
浜でも、漁師の奥さんが朝早くから重たいアカイカを運び、
陳列する光景をよく見かけます。
この懸命な姿に漁師は無言で感謝の意を伝えているのでしょう。
今後の後継者について想うこと
漁師の担い手が少ないことは周知の事実であり、全国の漁港の船の数は年々減少しています。
大西さんもそれを肌で感じているそうです。
しかし、一方で、漁師という職業の素晴らしさも同時に肌で感じていると言います。
「知識や経験、勘、読みといったことには自信がある。
息子がいるので、親としては継いでくれたらこれほど嬉しいことはない、
息子以外でもやる気のある人がいたら、いくらでも教えてあげたい。」
と笑顔で話す。
また、大西さん自身は今後も体が続く限り、第一線で漁師をやっていくつもりだと言います。
漁師という職業に、若者が少しでも興味を持ってもらえることを期待する大西さんの姿が印象的でした。