漁師といえば“海の男”というイメージが強いけれど、果たしてホントのとこはどうなんだろう?ここでは但馬の漁師の仕事っぷりをご紹介します!
1.出港
目的の漁場や船の大きさによって違いますが、多くの船は、早朝~日中に出港します。1週間ほどの漁の場合、船長、機関長、船員(6~8人)の合計8~10人で船に乗り込みます。
2.漁場へ向かう
舵をとる船長は、漁場や漁獲などに関する情報を集め、それらの情報をもとに操業場所を決めるのです。その間、船員たちは休憩したり、網などの道具の手入れをして過ごしています。
3.底びき網漁
漁場に着くと、網を海中に投げ入れ、底をひいてまわります。1時間ほどして網を引き揚げ、船長、機関長を除いた船員たちで、約1時間かけて魚・カニの選別を行います。
4.魚の選別
魚は種類、大きさごとに箱に詰め、カニは大きさ、重さ、姿などで幾種類にも分け、水槽へ入れます。カニを生かしたまま持ち帰るためです。選別作業が終わるとすぐに、次の網を入れる準備に掛かります。
5.漁の繰り返し
網を下ろす→引き揚げる→選別する
船上ではこれらの作業を繰り返し、網をひいている1時間が船員の自由時間となるわけです。
漁場の移動や引き揚げの判断はすべて船長が行います。
6.帰港
帰港後は、船員みんなで水揚げ作業。
帰港してからも、船の清掃、道具の整理などの作業を終えて、やっと家族のもとに帰るんですよ。
台所
ここで炊事当番さんが毎日4食分作ります。ちなみに新米の船員さんが、炊事当番をする習わしになっているんだって。とれたての魚を刺身や煮付けにしたり、カニをみそ汁やボイルにして食べることもあるそう。たまにはインスタント食品を利用することも。 甲板上で波に揺られながら食べるそうで、作るのも食べるのも大変そう…。
寝室
電気をつけてビックリ!冷暖房が完備されているうえ、冷蔵庫に電子レンジや扇風機など電化製品がバッチリ揃ってる! 「ふつうに生活できそう」と思ったが、ベッドを見てその考えの甘さを思い知らされました。 「これは狭い!」 隣のベッドとはカーテンやベニヤで仕切られており、『1人寝転ぶのがやっと』って感じ。寝返りも打ちにくそう…。 ベッドにはお守りが飾られていたり、休憩時間に読むという漫画や雑誌が、所狭しと置いてありました。
船長室
部屋はレーダーやモニタ、無線などでいっぱい。ベッドの上にも機械が置いてあります。 ここにも電化製品が揃っており、でもやはり船員同様、ベッドは狭いのです…。船長は漁の間ほとんど休めないので、仮眠をとることもままならないとか…。
やはり“漁師”とは、とてもとても厳しい世界でした。 いろんなカルチャーショックを受けて、その大変さを垣間みる事ができました。 漁師の皆さん、体を大切に、くれぐれも事故には気をつけてくださいね。
漁に必要不可欠なものであり、そして必ず船にあるもの。海の男たちが大切にしている道具の一部を紹介します。
沖合底びき網漁の道具
船には7~10人が乗り組み、約1週間航海する。
●漁場/京都府から山口県沖合
●操業期間/9月から5月末
●漁船/34~95トン
1.底びき網
網の大きさは高さ9m、長さ70mくらい。傾斜がかかった船尾で網を広げながら海に入れ、カニ漁の場合2時間ほど海底をひいて引き揚げる。
2.ロープ
約2,000mもあるロープを使って、網を揚げる。
3.水槽
捕まえた魚やカニを甲板上で選別し、水槽へ。カニは生きたまま港へ運ぶ。
沖合イカ釣り漁の道具
船には5~9人が乗り組み、1週間から1ヶ月にわたり航海する。
●漁場/日本海の広範囲にわたる
●操業期間/5月から2月末
●漁船/30~99トン
1.集漁灯
1灯あたり3~4KWととても明るく、船上で照らすとイカが集まってくることから、たいへん重宝されている。
イカは灯りに群がるプランクトンや小魚などをエサにしていて、それらを求めてあがってくるという習性を巧みに利用した道具。
船の大きさにより吊るす数は様々で、沖合イカ釣り船になると70灯近くにもなる。
その他、1本釣り漁もあります。
レーダー類
1.GPS
(Global Positioning System・広域側位システム)
目的地を入力すれば、目的地と船の現在位置が正確にわかる。
地球のどこにいても、GPS衛星からの電波信号が受けられるという。
2.レーダー
夜間や悪天候などにより視界が悪いときでも、近くにある物体の方向や距離を教えてくれる装置。
アンテナが回転するので360度の測定ができる。
3.魚群探知機
名前のとおり、魚の群れがどこにいるかを知るための機器。
水中では使えない電波に変わり、超音波を使ってコンピュータで測定するのが特徴。
4.無線通信機
海上保安庁などからの情報を受信したり、仲間同士での交流に使用。
海上での数少ないコミュニケーション機器といえそう。
5.気象ファクシミリ
電波で受信した天気図などをプリントする装置。
漁師にとって大切な最新の気象情報がわかる。